マルチビーム深浅測量は、作業船に艤装した測深機より海底面へと扇状に発振する音波によって面的な測量を可能にします。
当社では、Kongsberg社 EM2040P および Norbit社 iWBMS を導入し、浅海域における測深調査のみならず、BackScatter(後方散乱強度)データに基づくサイドスキャンイメージの取得や水深500mにおける測深調査など幅広く対応できます。
ポータブルタイプのマルチビーム測深機
EM2040P MkII
マルチビーム測深機から送信される音響ビームは、調査船の左右両舷方向に幅広く、前後方向に狭い扇型の形状です。
一方で、海底から反射した音波を受信する音響ビームは、調査船の左右両舷方向に狭く、前後方向に幅広い形状で多数形成されます。
これらの送信ビームと受信ビームはクロス合成されることで複数の細い音響ビーム(ナローマルチビーム)が形成されます。この方式を「ミルズクロス方式」と呼びます。従来のシングルビーム深浅測量が、1本の音波を連続して送受信する「線的」な測量であるのに対し、マルチビーム深浅測量は「面的」な測量が可能です。
測深データ処理
ノイズ処理で長い時間を必要とすることはありません。
長年の経験・知識にもとに『品質の高いデータをきちんと採る』という基本と統計学的手法などの先進的な技術導入を生かすことで、測深データは全面的に高い信頼度区間が得られ、短い時間で確度高い結果をご提供します。
マルチビーム測深とは、扇状の音波を海底に向けて発振し、海底で反射した音波から多数の水深値を算 出する技術です。近年では言葉の定義が改定され、扇状の音波で面的に測深する方法を「スワス測深」と総称し、技術的な分類として「マルチビーム」と「イン ターフェロメトリ」に分類されます。
- マルチビーム
R2Sonic社のSonicシリーズ、Kongsberg社のEMシリーズ、Reson社のSeaBatシリーズ、Norbit社のWBMSなど近年では多くの測深システムがあり、港湾や沿岸域で幅広く用いられています。『調査船の進行方向に直交する扇状に発振した送信ビーム』と『調査船の進行方向に形成される多数の受信ビーム』の交点において、”角度ごと”の音波の戻り時間を計測し水深値を得る方法です。この方法は「クロスファンビーム方式」や「ミルズクロス法」と呼ばれます。 - インターフェロメトリ
GeoAcoustics社のGeoSwathなどに代表される、サイドスキャンソナータイプのスワス測深機です。マルチビームが『角度ごとの音波の戻り時間を計測する』のに対し、インターフェロメトリでは固定された角度情報を持っておらず『時間ごとに角度の位相差を検出』します。
- マルチビーム VS インターフェロメトリ
計測システムの性質上、インターフェロメトリはフラットで大きく水深が変化しないところを得意とします。沿岸漂砂の移動や構造物の現況把握、その他の高精細な水深記録を取得する場合にはマルチビームを使用した調査をお勧めします。尚、マルチビーム測深データの他にサイドスキャンデータも取得したい場合には、別途サイドスキャンソナーを同時に曳航することも可能です。